処刑少女の生きる道 一巻・二巻 感想と考察
佐藤真登著『処刑少女の生きる道』
久しぶりに出たGA文庫大賞の大賞受賞作です。
まずは一巻から
評価★★★★
完成度は高いと思います。「ここで見せ場を入れるのか! ここで敵を投入するのか!」と、教科書みたいにしっかりとした構成。
意外性も取り込んであり、ほとんどの人が満足できる作りになっています。
キャラクターは好みが分かれるかもしれません。
まず、ほぼ男が出て来ません。アカリやモモを見てると、この作品は完璧に百合にカテゴライズされるのではないかと。
★5ではないのは、戦闘シーンの多さに疲れてしまったからです。あと、独特な戦い方をするので分かりにくく、それもマイナスとなりました。
続いて、二巻です。
評価★★★
一巻に比べると、下がりました。
なぜかというと、かなりグロかったからです……。
少年向けで戦闘シーンが求められるのは分かるのですが、あそこまでグロくする必要はあったのか……。
まだ残されている謎も気になりますが、このグロさには参ってしまったので、ここで離脱となりそうです。
さて、ここからはネタバレありの考察となります。(なぜ処刑少女が大賞を獲ったのか、という理由の考察です)
ネタバレ大丈夫な方は、続きを読むからどうぞ。
処刑少女が大賞を射止めたのは、冒頭のシーン(異世界召喚された少年が殺される)が大きな理由だと思います。
今は、なろう系と言われる「異世界で俺TUEEEE」が流行ってます。それを逆手に取った形ですね。
私はこれを試し読みで読んでしまったので、本編を読む時はもちろん驚かなかったのですが、知らずに読んだらたしかに驚いたかと。
処刑少女だけでなく、敢えてなろう系を逆手に取った系(これ以下、アンチテーゼと称します)は多数見られます。
「JKハル」なども、アンチテーゼ系かもしれませんね。
とはいえ、アンチテーゼということは必ず「なろうテンプレ」を念頭に置いていないといけないので、ある意味では「なろう枠」に含まれると言えるのです。
GA文庫は、ネット発の「ゴブスレ」「ダンまち」などをヒットさせてきました。
かなりネット小説に敏感な編集部だと言えます。
そういうGA編集部が一種のなろう系である処刑少女に大賞を与えたというのは、「なるほど」と素直に思えるのです。
もちろん一巻の構成力の高さなども多分に影響しているとは思いますが、この要素も無関係ではないんじゃないかと思います。