トコトコ読書雑記

読んだ小説について語ります。たまに映画の感想も

ツバサ―RESERVoir CHRoNiCLE(CLAMP)から見る「主人公」○○の難しさ

お久しぶりです。

読書は細々と続けていたのですが、感想や考察を書きたいものに出逢えず、ブログを書かない日々が続いていました。

今回は当ブログで(多分)初めて漫画を扱います。

ツバサ―RESERVoir CHRoNiCLE(CLAMP)

CLAMPが今まで描いた漫画のキャラを登場させていく、という面白い仕組みの話になっています。
色んな次元に飛び散ったツバサを集める旅なので、あらゆる異世界を旅するのも楽しいです。
CLAMPの作品はいくつか読んだことがある、というぐらいで全作品網羅しているわけではありませんが、それでも知ってるキャラが出てくるとやはり嬉しいものです。

今回は、その「キャラ総出」について語るのではないのですが、作品の大きな特徴なので言及しておきます。
ちなみに、全作品網羅していなくても楽しめる構成にはなっていると思いますが、どうしても内輪感が出ているのは避けられないですね……。

実は途中まで集めていたのですが、発刊スピードが速くてついていけず、途中で挫折してしまいました。
しかし、なんとなく最近また読みたくなって借りてきました。
それで最後まで読んだのですが……どうしても語りたいことが出てきたので、こうしてブログをしたためています。

此度は主人公について語ります。

思い切りネタバレするので、続き以下に。

 

この作品、小狼が主人公なのですが、途中でその小狼が写しであることが明かされ、本物の小狼が出てきてしまいます。

つまり、主人公交代です。
前の主人公(以下、写し小狼と表記)はしかも、暴走して理性を失い敵に回ります。

一緒に旅をしていた気分の読者はポカーンとせざるをえないのですが、ここで本物の小狼が普通に旅の仲間に加わってしまいます。

ヒロインさくらの葛藤が描かれるものの、他の仲間(黒鋼とファイ)は、あっさりと受け入れます。

そしてなんと、さくらも写しであることが判明。本物は違うところにいたのです!!

混乱しながらも話を追っていくと、砕け散った「写し小狼と写しさくら」は魔女と契約をして生まれ直します。

なんとそれが、本物の小狼の両親となるのです!!

書いてて更に混乱してきました(笑)

まあ、色々とややこしい話なのですが……一番言いたいのが「主人公の交代が上手く行われていない」ことなんですよね。
姿が一緒とはいえ、序盤で旅してきた写し小狼は本物じゃないというし結局は本物の小狼の話になります。
主人公とヒロインだった写したちが、主人公の両親という――物語的には「絶対的脇役」に収まってしまうのです。

この二重構造ループがCLAMPが描きたかったことなのは間違いないのですが、明らかに読者を置いてきぼりにする構成には悪い意味でうなりました。

どんな創作物においても「主人公の強制交代」は、かなりの劇薬です。
上手くいくかどうか、ぶっちゃけわからないぐらい。
(短編連作などの場合を除く)

 

主人公交代においては、細心の注意を払って新しい主人公に感情移入できるように設定しなくてはならない。
ツバサにおいてはこれができていなかったため、なんだかスッキリしない読後感につながりました。

シンプルに最初の小狼がツバサを全て取り戻して、さくらと結ばれハッピーエンドというので良いと思うんですけどね。
CLAMPは割と話をひねってくるので、こういう感じになったのかな……と推測しています。