トコトコ読書雑記

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『黎明国花伝』シリーズ感想

三冊で完結らしいので、まとめて手に入れました。

評価 ★★★

第3回ラノベ文芸大賞審査員特別賞作。


表紙の姉妹が中心になっています。どっちかというと右のルシェが主人公かな。

まずは一巻。序盤に設定説明が多く、読みづらい。
ルシェが動き出すあたりからが本番。
終盤の展開は面白いが、いかんせんそこに辿り着くまでがなかなか辛い。

なかなか立ち上がらないスウェンの心情がわからないのも、何だかな~(二巻ではもっと早く抛棄していればと後悔してるのに)

黎明国は古代日本っぽいのに、隣国の大国が西洋風なのは違和感あり。
無難に中華風の帝国にしてくれた方が頭に入りやすかった。
通名や諱などの概念があるらしく、それも混乱を誘う。
面白くないわけじゃないんだけど、なんか色々と惜しくないかー?と思ったので星3の評価となりました。

 

続いて二巻。

評価 ★★

情報が錯綜しすぎ……というかキャラクターが一巻よりも増えて混乱も倍増してしまいました。
先ほども言いましたが、名前が複数ある、ってのは設定把握しにくいファンタジーにおいてはマイナスに働きますね。

今回はスウェンが主人公のようでした。
スウェンとキナンの関係は、そういうことで……いいのでしょうか? そういえばこの二人は血がつながってないのか?(親戚ではあると思うけど、実の姉弟ではない……はず)
うーん、混乱する。家系図つけてほしかったです。主役の三きょうだいからしてややこしいので……。
もっとハッキリ書いて欲しいし、ここを掘り下げたら萌えそうなのに勿体ない。
キナンが一巻から影薄すぎなんですよね……。

偽の姫の真相は驚きましたが、そこに至るまでの「誰?」が多すぎて物語に集中できませんでした。
王太子が偽姫に執着した理由って何だったのでしょう。
設定はおいしいのに、生かし切れてない感じが勿体ないですね。
一巻のが面白かったかな。二巻はわかりにくすぎて。

 

続いて三冊目

評価 ★★

二巻で出て来たエジカが主人公。
前の二巻は何だったの?と思えるぐらい、読みやすくなってました。

でも結局大陸で何して帰って来たのか、とかそこらへんの説明がすっぽ抜けており、いただけない。

主人公が三きょうだいから変わったので、本編というより外伝ぽくなっていました。
ルシェ、スウェンとスポットライトを当ててきたなら最後はキナンを主人公にしてキナンとスウェンの関係をじっくり書いてほしかった。

いきなり八年後とか……。 エジカとディノの関係も、双方のキャラに思い入れが薄いので流してしまいました。
エジカは出生の真相を知らないままで終わりましたが、ここは葛藤が欲しかったような。
これは全編に言えるんですけど、この話「綺麗すぎる」のですよね。人間ってもっと、ドロドロしてると思う。
ドロドロを書いてるとおぼしき箇所もさらっと流されてしまって、戸惑いました。

最後まで勿体ないシリーズだったなあ……と思います。
個人的には一巻で終わっていて良かったのでは……と。
あとがきを読んで作者の意図は分かりましたが、本編を読んでて伝わってこなかった。

設定○、キャラ△(薄い)、物語△……で総合的には★2.5ぐらいですかね。

今作が気になってる方は、まず一巻を読んで判断することをオススメします。合う合わないが激しいと思うので……。