『忘却城』感想
創元ファンタジイ新人賞佳作受賞作。
評価 ★★★★
「また、中華ファンタジー?」と敬遠することなかれ。
これは非常に設定が凝っていて、世に氾濫する中華ファンタジーとは一線を画す出来です。
死霊術師、いわゆるネクロマンサーの話と思いきや、想像の上をいくような物語なのです。
凝りに凝った世界設定にも、度肝を抜かれると思います。
惜しむらくは、少々ストーリー構成が粗い点でしょうか。
気になる人は気になると思います。
造語の多さ、キャラクターの(必要以上と思われる)多さも気になるかも。
名前が難しいので、余計に。
……と、ちょっと気になる点が多いので、★ひとつ減らしました。
とはいえ、それらの不満をねじ伏せるような圧倒的な設定や展開。
キャラクター造形もばらつきはあれど、かなり秀逸。特に曇龍の魅力は素晴らしい。
文句なしに面白い(序盤は入り込めないと、少々辛いかもしれない)ので、今流行の中華ファンタジーに辟易している人にこそ、届いて欲しい一作です。
↑二巻も出てるのですが、いまいちどんな話だったか思いだせず(読んだのが結構前なので……)、評価は保留。一巻のインパクトが大きすぎました。
ただ曇龍の過去がたくさん読めるので(曇龍の出身地の世界がまた独特で面白いんですよね)、そこは良かったですね。
三巻も今年に出るそうなので、楽しみに待ってます。
余談。
創元ファンタジイ新人賞、新人賞受賞作はハードカバーで出ているのですが、佳作や優秀賞だと文庫で出ているのですよね。
何でだろう?と思ったら……ハードカバーだと後日文庫版になるから二回本を出せるようなものです。
受賞作ならではの特権、ということでしょうね、きっと。