トコトコ読書雑記

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『飢え渇く神の地』感想

『宝石鳥』で鮮烈なデビューを飾った、鴇澤亜妃子さんの二作目です。

飢え渇く神の地 (創元推理文庫)

飢え渇く神の地 (創元推理文庫)

 

評価 ★★★★(4.5)

要素としては『宝石鳥』とよく似てますが(文明国の研究者と、研究対象の発達途上国など)、構成は『宝石鳥』より読みやすくなってます。

 

モチーフは、中東あたりの古代文明なのでしょうか。
前作に引き続き、独特の神話や伝承が素晴らしい。

インディ・ジョーンズを彷彿とさせるような、アドベンチャー的な要素もあり、全体的にエンタメレベルが上がっています。

 

でも、『宝石鳥』と今作を比べると、やはり『宝石鳥』に軍配が上がるのです。
どうしてでしょうか。
今作は読みやすく、エンタメ性が上がったと同時にやはり「薄まった」感じがするのもたしかでした。
前作より整ってはいるのですが、どこか物足りなさが残ります。作者の個性が少し、削がれているような……。

 

鴇澤さんには、『宝石鳥』ぐらい驚くような、個性溢れるものを見せて欲しいのです。
そういう意味で、少し★を減らしました。

 

…………と、ワガママも言いましたが、今作自体はとても面白いので、オススメです。
どこかに存在しそうで存在しない・不思議な世界に、冒険に出られてはいかがでしょうか。