『親王殿下のパティシエール』感想
めちゃくちゃ期待してました。
だって、金椛国シリーズの作者さんですよ!?
……と、期待が過ぎたようです。
評価 ★★★ となりました。
ちなみに金椛国シリーズはめちゃくちゃ面白いです。これもまた改めて記事書きます。
『親王殿下のパティシエール』に話を戻すと……まず、時代背景が難しすぎる。なのに、設定が多すぎる。
主人公マリーは清人の母親とフランス人(パティシエール)で、ホテルで働いていた。婚約者と死別。
清時代って、日本人には馴染みがないと思うのですが、そんな難しい時代がよくわからないまま、マリーが厨房であたふたしているのを眺める……という。
読者ポカーン(゚Д゚)の、置いてきぼり展開です。
これ、あの……主人公の背景を複雑にしすぎた弊害ではないでしょうか。
もう少しシンプルな背景で、リンロン(という皇子)についていく筋にすればいいのに。
しかも別にリンロンのことは好きじゃない奥さんたくさんいるし!とか言っておいて、嫉妬みたいな感情を見せていて。
マリーに共感しにくいです。
ついでに、マリー・アントワネットと接点があったことも匂わせます。
マリー自身にも秘密がある?
このあたりの伏線は、回収されることもありません。
グルメミステリーなのかな、と思いきや一話の事件も二話の事件も小さいものだし、三話は事件でもないし。
ヒーロー(なのか?)のリンロンは、三話でやっと出て来ます。
ライト文芸のお約束を盛り込んだはいいが……という感じですかね。
というか、こんな複雑な時系列にする必要があったんでしょうか。
フランスでのマリー、彼女と出会うリンロン、あたりから書いてくれたらもっと話に乗れたのに。
いきなりリンロン不在でマリーが厨房で駆け回るところから、というのはいくらなんでも読者に不親切では……。
難しい時代とはいえ、著者様がよく調べてるんだな~というのはよくわかるし、清とフランスのつながりってなかなか思いつかないから斬新、と良いところもたくさんあるのだけど。
それだけに、置いてきぼり感が辛い一冊でした。
続きも出るようですが、どうしようかな……。