トコトコ読書雑記

読んだ小説について語ります。たまに映画の感想も

『親王殿下のパティシエール』感想

めちゃくちゃ期待してました。

親王殿下のパティシエール (ハルキ文庫)

親王殿下のパティシエール (ハルキ文庫)

  • 作者:篠原悠希
  • 発売日: 2019/12/16
  • メディア: 文庫
 

だって、金椛国シリーズの作者さんですよ!?

……と、期待が過ぎたようです。

評価 ★★★ となりました。

 

ちなみに金椛国シリーズはめちゃくちゃ面白いです。これもまた改めて記事書きます。

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

  • 作者:篠原 悠希
  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: 文庫
 

 

親王殿下のパティシエール』に話を戻すと……まず、時代背景が難しすぎる。なのに、設定が多すぎる。
主人公マリーは清人の母親とフランス人(パティシエール)で、ホテルで働いていた。婚約者と死別。

清時代って、日本人には馴染みがないと思うのですが、そんな難しい時代がよくわからないまま、マリーが厨房であたふたしているのを眺める……という。

読者ポカーン(゚Д゚)の、置いてきぼり展開です。

これ、あの……主人公の背景を複雑にしすぎた弊害ではないでしょうか。
もう少しシンプルな背景で、リンロン(という皇子)についていく筋にすればいいのに。
しかも別にリンロンのことは好きじゃない奥さんたくさんいるし!とか言っておいて、嫉妬みたいな感情を見せていて。

マリーに共感しにくいです。

ついでに、マリー・アントワネットと接点があったことも匂わせます。
マリー自身にも秘密がある?
このあたりの伏線は、回収されることもありません。

グルメミステリーなのかな、と思いきや一話の事件も二話の事件も小さいものだし、三話は事件でもないし。

ヒーロー(なのか?)のリンロンは、三話でやっと出て来ます。
ライト文芸のお約束を盛り込んだはいいが……という感じですかね。

というか、こんな複雑な時系列にする必要があったんでしょうか。
フランスでのマリー、彼女と出会うリンロン、あたりから書いてくれたらもっと話に乗れたのに。

いきなりリンロン不在でマリーが厨房で駆け回るところから、というのはいくらなんでも読者に不親切では……。

難しい時代とはいえ、著者様がよく調べてるんだな~というのはよくわかるし、清とフランスのつながりってなかなか思いつかないから斬新、と良いところもたくさんあるのだけど。

それだけに、置いてきぼり感が辛い一冊でした。

続きも出るようですが、どうしようかな……。