トコトコ読書雑記

読んだ小説について語ります。たまに映画の感想も

たまには映画感想『ヘレディタリー』

今をときめくアリ・アスター監督の(長編映画)デビュー作ですね。
同監督のミッドサマーが絶賛公開中ですが、劇場で見る度胸がありません(笑)

 

ミッドサマー効果か、前作のヘレディタリーも話題になってたので、観てみようと思いました。

ヘレディタリー 継承 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: DVD
 

 

評価★★★★(4.5)

覚悟していたほど怖くなかったけれど、それでもじわじわ来る恐怖!

この映画の怖いところは、「結局、どうなるのか」予想もつかないところなんですよね。
主人公(アニー)が心理的に追い詰められていくところが、キツいです。

アニーの母親の葬式から物語が始まります。

ちなみに家族構成は

・アニー(母)
・スティーブ(父)
・ピーター(息子)
・チャーリー(娘)

 

よく出来た映画なのですが、いかんせん「わかりにくい」方に入ると思うので(あと序盤に退屈する人もいるかも)、★★★★★ではなく★★★★(4.5)にしました。

個人的に映画の恐怖度は「ジャパニーズホラー>>>ハリウッドホラー」だと思っているのですが、そんな私でも十分怖く感じました。耐えられないほどではないです。

ホラー好きな人は観て損はないかと思います。

以下からネタバレ。

チャーリーは奇行が多く、観てる側も「何だこの子は……」と思うしかないのですが。

最初に来るキツいシーンは、なんといってもチャーリーの死ですね。
これはもう、精神的にも映像的にもエグい!!!

チャーリーが頭を引っかけてしまった柱に、とある記号が刻まれている……というのが伏線なのですが、私は普通に見逃しました(笑)

途中で主人公アニーの前に現れる、親切なおばさん。結局、彼女はアニーの母の友人であることが発覚し、ここで「仕組まれていた!」と分かるわけです。
おばさんのドアマットも怖い……。


アニーが夢遊病という設定があるので、「アニーが正気かどうか」わかりにくいのも、この映画のミソだと思いますね。

アニーは、「信頼できない語り手」(文学でよく使われる用語ですね。意味はそのまま)だと思うのです。
観客にはアニーが正気かどうかわからないから、この映画はいっそう混乱を誘うわけです。

ラストに入ると一気に畳みかけてくる!

燃えてしまったスティーブ!
天井に頭を何度も打ち付けるアニー!
首を刺すアニー!

恐怖マックスです。

そして、最後の不気味で荘厳なラストに向かうという……。

魔王パイモン(ペイモン)を呼び出していることは、途中でアニーが見つける本から、わかります。

これは「何の話なの?」と思わせておいて、後半で悪魔崇拝の話だとわかるわけですね。この構成がすごいな、と思いました。

よくわからなかったのは、「アニーは最後どうして、ああいう行動に出たのか?」……。
チャーリーの中にはパイモンが入っていたのでチャーリーの奇行はわかるのですが、アニーは謎です。考えられるのは、昔に洗脳されていた?夢遊病も持病というより、母親に何かされた?
見逃したかもしれませんが、アニー周りのことはよくわかりませんでした。

ああ、あとアニーは「どうしてチャーリーをピーターのパーティに連れて行かせたの?」という疑問もあります。
あのシーンのアニーは非常に強引です。

やはり、洗脳説が濃厚かと思います。
夢遊病のような状態で、母親に協力するような行動を取るようになっているのではないでしょうか。
母親の死体を掘り起こしたのはアニーかもしれない、という伏線もありましたからね……。

パーティの最中にチャーリーは苦しみ出します。アレルギーでああなったそうですが(考察サイト見て知りました)、あのパーティ自体が仕組まれていたとか……有り得ますかね?

パイモンはチャーリーの中から出たくて、わざとケーキを食べるように無意識に作用したのではと考えられます。でもそれと同時に、あのナッツ入りケーキを用意したのは誰なの?
ピーターの同級生に、アニー母の知り合いの孫ぐらいいてもおかしくないのではないか?
それかもう、柱の「呪い」で全部引き起こしたと考えるしかないんですかね……。

こうして、観た後も色々考えてしまう映画なので考察サイト等を見て、伏線を思い出すとより楽しめると思います。