『ジェリーフィッシュは凍らない』感想
理系ミステリーです。
評価★★★★(4.5)
舞台も構成も、ユニークな小説です。
まず、舞台は少し昔のアメリカ(U国となってますが、明らかにアメリカ)
主人公は女刑事マリアとその部下の漣(日本人)です。
日本のミステリーというより、翻訳物を読んでる気分になります。
構成が独特で、一人称部分と三人称部分が錯綜するので最初はなかなか混乱しました。
それだけに、謎が解けたときの「あーそうだったのか」という爽快感はたまりません。
この現実世界にはない、ジェリーフィッシュという飛行船。
これが軸になって展開していきます。
物理の知識がバンバン出てくるので、文系人間の私には少し辛いところも。
逆に物理の知識があると、いっそう楽しめるかと。著者の市川さんは間違いなく、理系の方なんでしょうね……。
実際には作られなかった技術、それも舞台になるのは少し前のアメリカ。
これは一種のパラレルワールドなのかな?と思ったり。
不満があるとすれば、U国J国と書かずに普通にアメリカや日本と書いて欲しい、ということですね。アメリカの地名も頭文字表記なので、わかりにくい。
このわかりにくさと、構成上仕方ないとはいえ読みにくさがあるのは否めないので、少しマイナスとなりました。
しかし、評価が高いのも頷ける傑作です。
真相にアッと驚くこと間違いなし!